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1997/07/11 第10回

1997/07/11 第10回

小泉 純一郎氏 : (厚生大臣)
「21世紀への改革」

 

小泉 純一郎氏 : (厚生大臣)

1942年1月8日生まれ。衆議院議員当選10回。1967年、慶應義塾大学経済学部卒業。その後、ロンドン 大学に留学。1969年、衆議院議員福田赳夫秘書。1972年、衆議院議員初当選。1979年、大蔵政務次官。1988年、竹下内閣・厚生大臣、宇野内 閣・厚生大臣を務める。1992年、宮澤内閣・郵政大臣。1995年、自民党行政改革推進本部顧問。1996年、橋本内閣・厚生大臣。2001年内閣総理 大臣に就任。

それでは、記念すべく第10回のゲストをお呼びいたしましょう。
衆議院議員で現職の厚生大臣、政界のニューリーダーと呼ばれていますこの方です。小泉純一郎さんです。拍手でお迎え下さい。(拍手)
それでは、私のほうから簡単にプロフィールをご紹介させていただきます。
昭和17年1月8日生まれで、現在衆議院議員当選9回でいらっしゃいます。
昭和42年慶應義塾大学経済学部卒業後、ロンドン大学に留学、昭和44年衆議院議員福田赳夫氏の秘書になられまして、昭和47年衆議院議員初当選後、54 年に大蔵政務次官、 そして63年竹下内閣のときに厚生大臣、そして宇野内閣のときにも厚生大臣を務められ、平成4年宮沢内閣で郵政大臣、そして平成7年自民党行政改革推進本 部顧問、 そして平成8年より橋本内閣にて厚生大臣を務めていらっしゃいます。
本日のテーマは、21世紀への改革ということでお話しを伺いたいと存じます。それでは、小泉さん、よろしくお願いします。

小泉大臣  ご紹介いただきました小泉純一郎でございます。
今日は記念すべき10回目の講師としてお招きいただきましてありがとうございます。
先程ご挨拶された中川昭一代議士から、若い人が中心になって、これからの日本を真剣に考えている人のグループがあると、そこで小泉さんの意見を聞きたいと 言う人が結構いるから、  是非とも来いというお話しでありました。中川先生も、私よりちょうど一回り位下だと思います。
自分よりももっと若い人なんだと、これからの21世紀、政治に関心を持っている、経済に関心を持っている、社会に関心を持っている、そういう若い人達と懇 談するのも好い機会だなと、  しかも真剣に今日もこのようないい機会を設けていただきまして、私の話を聞いていただけるということで、喜んでやって参りました。
私の話の後に、懇談の場も設けるということであります。8時位まで話せばいいんですか? どうなんですか? 8時位まででいいんですか? はい。
それでは、これからの21世紀、将来を見据えまして、皆さん方いろいろ意見をお持ちだと思いますが、私が日頃考えることを申し述べまして、今後の何かの参考にしていただければありがたいと思っています。
私は、昨年厚生大臣に思いがけなく就任いたしまして、今橋本内閣が抱えております6つの改革、それぞれありますが、わけても行政改革、財政改革、社会保障改革、意欲的に取り組んでおります。
そこで、当面は厚生大臣として社会保障制度の改革に取り組まなければならない。わけても、今後予算編成、10年度予算編成が暮れに控えておりますけども、  医療制度の改革というのは今国会の審議におきましても大変大きな関心を集めました。
私は、医療にしても年金にしてもあるいはこれから導入されます介護保険にしても、  いずれにしても国民はどれだけのサービスを要求するか、いわゆる給付を要求するか、この給付はよければよいほど、厚ければ厚いほど、好いに決まっている んです。しかし、  その給付を受ける人と負担する人の両面を考えなければならない。社会保障制度、その他の予算を考える場合には、全て給付と負担の問題を抜きにしては語れ ない訳であります。
皆さんは今日は30代、あるいは20代の方がほとんどだと思います。「還暦に親が立ち合う長寿国」、わかりますか、この意味。「還暦」という意味、知らな い方います? 「還暦」っていうのは、  60歳のお祝いですよね。今、若い人にとっては死語となっているかもしれない。戦後、人生50年の時代だった。その際、還暦というのは比較的珍しく、お めでたいことだったんです。60になると、  まあ12年が十二支で一回りですから、5回一回りすると60歳になる。赤いチャンチャンコを着てね、皆お祝いしてくれたんです。それが最近、「還暦に親 が立ち合う長寿国」ということは、  還暦というのは子供が自分の親を祝うのが普通だったんです。最近はね、この還暦に親が立ち合う位に、長寿国になっちゃった。長生きになったんです。
8年前、私が初めて厚生大臣になった時に、  100歳以上何人位いますかと聞かれましてね、100人いるかいないかだろうと私思ったんです。そしたら、もう2600人を超えましたと言われて、びっくりしたことがございます。もうそんなにいるのかと。
8年前ですよ。ところが、去年の敬老の日の発表で、100歳以上は7600人を超えたっていうんですね。どんどんどんどん長生きの時代になって、あのきんさん・ぎんさんというのが例外ではなくなってきたんです。
もう還暦60歳でお祝いするどころじゃないですよ。70の祝いは古希といった。古来稀と書くんですよ。古希の祝いというのは70歳です。それほど数十年前 の人にとっては、60もお祝いめでたいし、70なんてのは古来稀、  古希の祝い。ところが今、もう70なんてのは最近では古希じゃなくて、「近ザラ」だと。もうザラにいると。
近代ではもうザラにいると位に、長生きの時代になりました。必然的に、年金にしても、  医療にしても、介護にしても、この日本は長生きできる国になろうという目標を達しちゃったんです。戦後、「ゆりかごから墓場まで」というあのイギリスの 社会保障制度を見習ってやって参りました。
まずは、人生50年の時代から、少しでも長生きしたいという、長生きできる国になろうという目標を立てました。
既に日本は、世界一長生きできる国になりました。もう男では、男性は76歳位ですか、  女性は82歳位でしょう、平均寿命が。70なんてのは古希でも何でもない、もう当り前。
人生80年の時代になった。そういう中で、これからの社会保障、どうやってお互いが充実させていくのか、効率化していくのか。
そこで、今年の行政改革、財政構造改革でも一切の聖域なしに、10年度予算、今年の暮れ編成します、来年の4月から始まる10年度予算、この予算は一般の 政策経費、今年の9年に比べてマイナスにしようとする方針を、  橋本内閣は掲げました。すったもんだの末に、この方針を全閣僚、全自民党、社民党、さきがけ、飲みました。
今までだったら、予算というのは前年度から如何に伸ばすかというのが当り前の考えだった。
それを、今の財政状況から考えると、とてもそういう状況ではない。そこで、マイナス予算を組む際に、厚生省は3000億円の増を認めてもらいました。他の省庁はみんなマイナスなんです。
厚生省は3000億円認めてもらったからいいだろうというんでありますが、そうではない。実は、年金にしても、医療にしても、年金もらう人が大体黙っていても200万人位増えるんです。
同時にもらっている人の中で100万人位が亡くなる。差引、100万人位年金をもらう方が増える。年金というのはどういう組み合わせになっているか、大雑 把に言いますと、まず国民の税金と、  若い人、皆さんが払う保険料と、そして年金をもらう方、60歳以上の方々の年金の額と、この組み合わせしかないんです。
それと年金の場合は、支給開始年齢を何歳にするかなんです。税金を投入する、  若い人の保険料をいただく、そして年金をもらう方をいくらの給付にするか、それと何歳から年金を支給しようか。
誰が考えたって、どの政党が政権取ったって、この4つの組み合わせをどうするか位しかないんです。
給付をよくすればいい、と言ったら、どっかで税金か保険料を上げなきゃならない。
今の60歳支給を2013年には65歳からにします。ようやく、2年前に60歳から段階的に2013年に65歳、  60歳から65歳にしようと。今言ったように、人生50年時代の60歳支給じゃなくて、今人生80年時代ですから、65歳から支給でもいいだろう、やっ と認めてくれて、そんなに保険料上げることもできない、  税金も上げることはできない、給付をそんなに下げちゃいかんというんだったらば、少し年齢を遅らすしかないだろう、ということで、ようやく2年前に65 歳、しかも2013年に65歳にする、段階的に。決めたんです。
医療費だって最近そうです。これも医療保険で保険を払ってもらう、そして税金を投入する、さらに今度は医療を受けた場合に患者さんがどれだけ負担してもらうか、この3つの組み合わせしかないです。
お医者さんに診てもらう、自分が負担するのは嫌だというんだったら、只にしようというんだったら保険料と税金を上げるしかない。
税金もそう取られるのは嫌だ、保険料も上げるのは嫌だ、と言ったらば、ある程度患者さんにも、利益を受ける人からも、負担をお願いしなければならない。
こういう給付と負担、これをただ高齢者は負担はなくていいんだと、若い人に負担してもらおう、  という時代じゃないんです。お互い、高齢者も若い人も給付を受けながら、どの程度の負担をすればいいかと。特に今年の6月、日本の歴史始まって以来、 65歳以上の人口が14歳以下の人口より上回るようになりました、  日本は。これも画期的なことであります。年金にしても医療にしても、むしろこれからは給付を受ける人はどんどんどんどん増えるけれども、それを支えて負 担してくれる人はどんどん減っていくんです。
そういう中で、社会保障というのも今、国民がいちばん税金を使っている分野でありますけれども、毎年毎年増やしていく段階ではない。ただし、今言ったように他の省庁みたいに、全部削ることはできない。
8000億円以上黙っていても社会保障関係の費用は増えるからである。
だから、3000億円程度の増額は来年度認めます。
そのかわり、その分は公共事業とか医療とか他の予算の他の省庁が負担を被って下さいということで、当初は公共事業を削るのはけしからん、農業予算を削るの はけしからん、  教育予算を削るのはけしからん、海外経済協力を削るのはけしからん、と言っていましたけれども、全体の財政状況を考えながら、ようやく各省庁も納得し て。
増える予算は社会保障関係と、科学技術関係だけになりました。あとは全部マイナス予算なんです。公共事業費は7%前年に比べて削減する。海外経済協力費は10%前年に比べてカットする。
差引一般政策経費は10年度よりもマイナス。厚生省関係は3000億円の上乗せが、現実には黙っていれば8000億円以上に上るんですから、5000億円以上削減しなけりゃならないんです。
純然たる増額予算を組めるところは、科学技術関係だけです。これは将来の科学技術は大事だということで、約400億円位伸びる筈です。それ以外は実質的に は全部カットしなけりゃならない、  そいう厳しい状況であります。それで、私自身これから医療改革に取り組むのに、今国会の中でいちばん批判が出たのは、日本は薬を使いすぎる、薬が高すぎ るんじゃないかというのと、  それと、このお年寄りの、今まで一月1020円払えば何回行っても只だったのが、今年の9月から1回行く度に500円払ってもらいましょうと。ただし、 4回までです。5回以上は只にします。
若干薬代を負担していただきます、ということなんですけども。そうなりますと、平均的にお年寄りは4回じゃ済まないと。5回以上行く人が多いとなりますと、2000円以上掛かる。
今1020円で済んだのが倍になる。患者負担を倍にするのは過重負担でけしからんという批判が随分出て参りました。しかし、国民健康保険に入っている人は、掛かった費用の今まで3割を負担している。
サラリーマン、健保組合に入っている方は1割負担を2割にするんです。当初、高齢者でも1割位いいではないかというけれども、1割負担してもらうといくら掛かるかわからない。
1万円掛かれば1千円、2万円掛かれば2千円、3万円掛かれば3千円払わなきゃなんないから、高齢者にとっては病院行く度にいくら掛かるかわからないか ら、それは駄目だということで各方面からの反対で、  結局高齢者だけは定額になった訳です。定率、いわゆる他の国保とか健保に入っている方の3割負担、2割負担、1割負担すらも出来なかった。しかし、こう いう論議を積み重ねて参りまして、これから将来  、最初に言いましたように、高齢者と若い世代で争いが起こっては悲劇であります。若い人から見ますと、むしろ保険料は払うんですけれども、お医者さんに 掛かる率は圧倒的に少ないんです、健康ですから。
しかし、高齢者、年を取ればだいたい病気になりがちですね。若い人と同じようには比較できない。ある程度の配慮は私も必要だと思います。そこで、日本の制 度の中で、  今までこれほど長生きできる国になってきたというのは、医療関係者の果たした役割というのは大変大きいと思いますが、出来高払制度と言いましてね、掛 かった費用は全部保険でみますというのが、  今の日本の基本的な出来高払制度なんです。どんな検査をしても、どんな手術をしても、どんな薬を与えても、一切保険でみますよと、お医者さんを信頼して いる訳です。
この制度にも、好い面もあれば悪い面もあります。好い面は、その患者さんのために最善の治療が出来る、何でも手抜きしないで好いと思った治療なり、検査なり、薬を投薬できると。
逆に悪い面は、必要ない検査もしちゃうんじゃないか、必要ない薬もあげてしまうんじゃないか、後で全部保険で返ってくる訳ですから、それは病院の収入になる、お医者さんの収入になる。
患者さんだって何かしてくれないとこの医者変じゃないかという気持ちを持つかもしれない。本来だったら、これはもう風邪をひいている、寝てればいいと言う と、何も薬もくない、注射もしてくれない、  この医者変じゃないかというよりも、大したことないけれど、注射もしてあげましょう、薬もたくさんあげましょう、といった方が親切に見えるでしょう。こ れをどっかで誰かが負担している訳ですから。
後は、患者の負担は低くて済むと思えば、そういうお医者さんは親切だと、薬飲む必要ないよ、寝た方が胃も壊さないし、寝てれば治るよというお医者さんよりは、そりゃ親切に患者さんにとっては見えますよね。
もう一方では、この出来高払制度がむしろ過剰な診療、過剰な検査、過剰な投薬に繋がっているのではないか。一定の、この病気には一定の額しか診ませんよ、 特に入院患者、  高齢者の慢性の患者さんに対しては一定の額を決めて、それ以上はその範囲の中で検査も治療も薬も与えて下さい。
後は診ません。ひとつの定額払い、包括払い、  こういう制度を導入しようという声も最近出て参りました。この制度の良さはその人に合わせて、過剰な不必要な検査をしない、不必要な薬をあげない、とい う好い面があるのですが、  同時に必要な検査も費用を浮かせるためにしなかったり、必要な薬もあげなかったり、あるいは病院がこの人はちょっと重症患者だ、ややこしいな、と受け入 れない、軽い患者ばかり受け入れる、  悪く解釈すると。そうなるとこれまた悪い点が出てくる。どの制度においても、一長一短があるんです。
そこで今後は、この出来高払制度の良さと、定額・包括払制度の良さを組み合わせる方法を考えなきゃ、  私はいけないと思っているんです。どういうふうに組み合わせるかというのはこれから問題があります。まあ、例えて言えば、慢性期の入院患者については、  出来高払制度よりも一定の定額払制度の方が合っているかも知れません。ともかく医療費よりも、経済成長の伸びよりも医療費の伸びの方が多いと。
そしてこのまま益々負担が重なるようでは、医療保険制度、年金制度等もちませんから、今までの一部的な患者負担だけに見られるような、手直し的な改革では済まないと思います。
今の自由経済の中で、医療というのは統制経済ですから、1カ月に1千万円掛かろうが、2千万円掛かろうが、今は6万3600円以上は払わなくていいとい う。どんなお金持ちだろうが、お金を持たない者だろうが、  平等な治療が出来るという、そういう制度ですから、統制しなきゃとてもこの医療保険制度はもちません。その中で出来るだけ選択できるような、自由裁量が 利くような範囲をどこまで延ばすか。
今の医療機器もどんどん高くなって参りました。CTスキャンとか、MRIとか、かつてのX線のレントゲンだけで(そんな)時代しか知らなかった人から見れば、驚くべき技術の進歩があります。
そういう医療機器もどんどん高くなっております。これからも素晴しい治療が出来れば、当然医療費も高騰していくでしょう。そういう中でお互いが支え合って行けるような制度を構築して行かなきゃならない。
その中で何故今までの予算編成みたいに前年度より伸ばして行こうというのじゃなくて、全部削り込もうと言ったのは、これは深刻な財政状況なんです。それは今年77兆円の予算を一般会計で国が組んでおります。
この77兆円の中で、国民の税金、どこにいちばん使われているかというと、今まで借金してきた利払い・償還なんです。16兆円以上の金が、今何の新規の政 策事業に使われないんです。これから当分、  今まで国債を発行してきて、借金をしてきた、そのつけが来て、その利払いに回っちゃっているんです。厚生省関係予算は、約14兆5千億円です。年金も医 療も生活保護費も、  いろんな自治体に対する補助金とか、保育所に対する補助金も全部ひっくるめて、14兆数千億円です。それよりも約2兆円上回った16兆円が、何の新規の 政策事業に使われないで、  今まで借金してきた利払いに回っちゃうんですよ。この状況をどうするのか。もう借金はできないでしょう。いちばんこの借金のつけを払うのは、若い皆さん 方なんです。
今まで建設国債は、道路や橋や住宅や公園や下水道、あとの若い世代も使えるからいいんだと言って発行してきました。赤字国債は、飲み食いと同じで、後に何も残らない。
当座金がないから、借金して、若い人につけを回すんだから発行してはいけないということでやって参りました。しかし、石油ショックと度重なる不況で、そういうことも言っていられない。
増税は出来ないから、借金をしよう。不景気なんだから借金をしていろんな公共事業をやって、減税をやって、景気が回復した時、借金を返せばいいじゃないかと言うことでやって参りました。
気が付いてみたら、240兆円を超える借金を今までしてきた。孫子の代につけを残すどころじゃないんですよ、今。現在の納税者がこの借金に苦しんでいるんです。
というのは、納税者が自分たちの税金どこに使われているんだか、社会保障でもない、教育でもない、公共事業でもない、科学技術でもない、利払いに回っちゃっている。
ということは、今国民の税金が、国債を買ってくれる人の懐にいちばん行っちゃっているんです。この深刻な状況にようやく各政党、政治家が気が付いてきた。 だからこそ、去年の選挙では、  10月の選挙ではどの政党も政治家も全部行政改革、財政改革を挙げた。消費税導入した、3%導入したときのあの反対。今度の3%から2%上げて5%に消 費税に上げる場合の反対を、身にひしひしと感じた。
増税出来ないから、借金をしてきたんだけれども、借金も今気が付いてみたら、大変な負担になっている。だから、今までの無駄を見直そうと。借金も出来な い、増税も出来ないとなると、  今まで税金が余分なところに使われているのではないか、ということで行政改革、財政改革が叫ばれてきた。その中にあって私は、2年前の総裁選挙で郵政3 事業民営化を掲げた。
ようやくこれが段々現実のものになりつつありますけれど、未だに政界では自民党から共産党まで全て圧倒的に反対論者で占められております。私が何故郵政3 事業民営化を言うかというと、  これは郵政省だけの問題じゃないんです。全省庁、特殊法人に及んでくる問題だからなんです。行政改革の視点は何かというと、それは国がやるべきことと、 民間がやるべきことを厳しく  選別しようということであります。政治の最も大きな仕事のひとつに、優先順位を決めるということがあります。出来れば国民の要望を全部かなえてあげた い。
皆さんのおこづかいを、範囲であれも買いたいこれも買いたい。しかしお金がない。そのお金の範囲内で優先順位を決めて買わなければならない。その際にお金があるときはいいです。
どんどん税収が上がってくればいいです。今までも、あれもやりましょう、これもやりましょう。各省庁、一定の率伸ばして下さい。今年は1千億しかないか ら、来年度は10%伸ばして  いいですよという時代が高度成長のときありました。そのときは、あれもやらなきゃならない、これもやらなきゃならない、皆増額要求を出してきて、増額の 要求の分の中でどれを少し切ろうかという時代だったから、  これは今から考えてみれば、良き時代でした。しかし、今言ったように、後になったらば借金を返せばいいじゃないかということだったんですけれども、これ が借金は麻薬という言葉通りですよ。
一度やったら止められないんです。借金に借金を重ねてきた。今気が付いたら、先程話したような状況なんです。そこで、私は、「官業は民業の補完」という言葉が土光さんの臨時行政調査会からよく出て参りました。
官業=役所の仕事、官の仕事、国の仕事は、民業=民間の仕事の補完に留めるべきだと。しかし、よく見てみるとそうじゃないです。国がやらなくてもいいこ と、  放っておいても民間がやっていることを国がどんどんやっている、その典型的な事業が私は郵政3事業だと言っているんです。しかも郵政3事業というのは、 私が言っているのは郵便局無くせと  言っているんじゃないんですよ。民営化ということは。あの郵便局の仕事は、役人がやらなくても出来ると言っているんです。民間人で十分出来る仕事だと 言っているんです。
郵政3事業民営化になると郵便局がなくなると思っているのがたくさんいる。とんでもない。NTTが民営化されて電話なくなりましたか? 情報産業なくなったか? なくなってないです。
国鉄が民営化されて、鉄道がなくなったでしょうか? なくなってない。同じことです。あの郵便局の仕事は民間で十分出来る。しかも、これから特殊法人がか なりありますけれども、  日本開発銀行とか住宅金融公庫とか、住宅都市整備公団、この特殊法人の事業は何故出来たかというと、郵便貯金のお金、簡易保険のお金、年金のお金、この 金があったからできるんです。
本来、郵便貯金も簡易保険も年金も国民のお金だから、融資する場合には有利でないとできないんです。確実に有利に運用して下さいというのが財政投融資制度 で、そういう郵貯の金、  年金の金を使って国民に必要と思われたような事業に投資・融資してやる。ところが最近その特殊法人の活動が有利でもない、あるいは放っておいても民間が やっているのに、  やらなくてもいい仕事をやっているのではないかという特殊法人改革が、いつも行政改革が言われる度に出て参りました。私は、特殊法人の端っこをやるより も、元の、その財政投融資制度の元の金が行かなくなれば、  必然的にどれが必要か、どれが不必要かわかってくる。本当に必要なものは税金を投入すべきだと。金があるから、必要のないところまでに事業活動が行くか ら、民間の活力が無くなってくる。
民間得意の仕事、役所の仕事の最大の違いは、役所は民間と同じ仕事をやっても、法人税払いません。固定資産税払いません。設備投資する場合、予算を要求してきます。
民間は、利益を出さないと倒産しちゃうんです。必ず利益を出そうと思って必死の努力をする。利益を出したら、必ず法人税を払わなければならない。もちろ ん、  固定資産税は利益がなくても出さなければならない。なおかつ設備投資は自分の金でしなければならない。自分の金で従業員を雇わねばならない。片っぽは税 金は払わない、税金を使ってやる。
片っぽは利益をあげて、税金を出して、なおかつ国民に良い商品、良いサービスを提供してるから、社会主義経済よりも自由主義経済が発達してきたんです。と いうことを考えるならば、  郵政3事業、郵貯と簡保は既に民間の金融機関、生保機関、全部民間がやっている仕事であります。毎年、民間もあろう仕事をやっているんだから、郵政省は 同じ様なことをやらせいと要求してきます。
今、郵政3事業の中で民間がやっていない仕事は、封書と葉書の配達だけなんです。本当に封書と葉書の配達は、民間人は出来ないのか、2年前、郵政省は民間の宅配業者がクレジットカードを配達しだした。
このクレジットカード配達が利益が出るようになった。となると郵政省は待ったをかけました。クレジットカードの配達は民間業者はやっちゃいかんという、差し止め命令を出した。何故か。
クレジットカードは信書にあたる。封書や葉書と同じだと。この信書は役人じゃなきゃ扱ってはいけない、民間業者は扱ってはいけないから、駄目だと。私は総 裁選挙でおかしいのではないか、  民間でできることを何故やらせないのか、本当にあなた達は信書の秘密、封書と葉書の秘密は、役人じゃなきゃ守れないと思っているのかと言って批判をしま した。民間でできるなら、やらせりゃいいじゃないかと。
ところが、当時でも小包は今日本の離れ島だろうが、離島だろうが、過疎地だろうが、ほとんど99%の地域に小包は、品物は配達されています、民間の業者 で。ごく一部の地域を除いて、民間の業者が配達している。  数年前までは、品物の中に葉書とか挨拶状とか封書を入れちゃいけないんですけれども、最近は品物の中にメモとか手紙が一緒に入っている場合が多いでしょ う、開けてみると。前はね、  まず最初に葉書とか封書で、かくかくしかじかの物をお送りしましたから、いずれ届くと思います。どうかご賞味下さい、とかお納め下さいといって、丁寧に ね、品物を送る前に葉書で知らせたものであります。
ところが民間の宅配業者がどんどんどんどん品物を送るようになって、郵便局が扱う品物よりも民間業者の扱いが多くなってから、2重手間しなくなった。品物の中に手紙も封書も入れちゃう。
これ本当は郵便法違反なんです。信書なんですから、品物と封書分けなきゃいけない。国民にとってみれば、まさか民間の扱う品物を信書が入っているかどう か、開ける人はいないだろうと、  それを信用しちゃって中に入れて、それが一般化したんですね。しかしながら、未だに民間でも年末年始のお年玉葉書くらいは、民間でやらせれば50円なん て掛からない、もっと安く出来ると、  やらしてくれというのに、未だにこれは国家独占事業で、民間はやらせちゃいかんということで、やらせない。これだけ規制緩和と叫ばれていながら、どの政 党も政治家も、  民間に規制緩和してさせればいいじゃないかと出てこない。それは郵政省が反対しているから。民間人は封書と葉書は配達しちゃいかんと言いながら、郵便局 は今どういうことしているか。
夏休みから高校生に「年末年始のお年玉葉書のアルバイトしませんか」と言って、今、往復葉書出している。高校生は民間人ですよ。今、年末年始のお年玉葉 書、アルバイトの協力なくしては配達できません。  アルバイトしてる人は高校生にしても大学生にしても主婦の皆さんにしても、役人じゃありません。片っぽでは、民間がやらせろと言っているのにやらせな い。
行政改革だ、役人の仕事を減らさなきゃいかんというにも関わらず、去年から郵政省はアルバイトを国家公務員にしちゃました。4時間勤務の短時間勤務の公務員を募集している、配達するために。
公務員減らすどころじゃない、逆に増やしているんです。こういうことで本当に行政改革は出来るんだろうか、ということから私は、この行政改革の元である、 全ての財政投融資改革の見直し、  全ての特殊法人を見直す、また省庁再編成となってくる、そして国がやらなくてもいい仕事を民間にやってもらおう。民間が儲けてもらって良い商品・良い サービスを提供してもらって、税金を納めてもらおうという、  民間の活力を発揮させるための、元の郵政3事業を民営化さすことによって、本格的な行政改革が始まるんじゃないかなと、思うから言っているんです。一郵 政省の問題じゃないんです。
なおかつ、今言ったように、もう増税はなかなか国民が受け入れません。消費税3%、5%であの抵抗であります。そして借金だというと、今度は若い世代が怒 りますよ。自分達にこのつけを残してと。  いちばん本当は借金で怒んなきゃなんないのは、皆さんの世代なんです。赤字国債というのは、特例公債というんです、法案では。自民党単独政権の頃は、建 設国債はまだしも、赤字国債、特例公債は対決法案だと、  社会党も公明党も民社党も共産党もみんな反対したんです。何故か。つけを若い世代に残しちゃいかん、借金は麻薬になる、ということで反対した。ところ が、与党野党入れ替わって、  自民党も野党になる、社会党も与党になると、そうなると最近では野党も与党も労働組合も財界も経済界も、不景気だから増税できないから、赤字国債やむを 得ないということになっちゃった。
借金は麻薬、本当に怖いもんです。何で特例公債というのか。特別に例外で1年限りしかこの赤字国債を発行しちゃいけませんよ、というから特例公債なんです。それが、1年限りでもない。
特別に例外でもない、今や毎年毎年通例になっちゃった。非常に怖いもんであります。そして、昭和39年がオリンピックでした。皆さんまだ生まれてない方多 いかもしれない。国債を発行しだしたのは、  昭和40年からです。それまでは、40年までは日本国民は一切の借金をしないで、その当時の税金だけで全事業やっていたんです。戦後20年までは。今か ら30年前となれば、福祉制度だって貧弱だった。経済も弱かった。
にも関わらず、借金をしないで、当時の世代の人達は、その税収だけで全予算を組んでいたんです。いざオリンピックをやって、高度成長が始まって、そうなってから不況が来ると借金をし出した。
特に昭和48年に石油ショックがきました。あの景気停滞を凌ぐために、増税できないから借金をしよう。借金をしていろんな事業をする、減税をすれば、税収 が上がってくるから、  そのとき借金を返せばいいということだったんですけど、いざ税収が上がってくると、自然増収というのが上がってくる、景気がよくなると。そのときに借金 を返しておけば良かったんですけども、  いざ自然増収が上がってくると、理屈は変わってきた。自然増収というのは、見積りの税収よりも多く出たんだから、税の取り過ぎなんだ。減税に回しなさ い。公共事業に回しなさい。
そうすればもっと景気がよくなる。もっと景気がよくなった時に借金を返せばいいじゃないか。気が付いたら選挙が近い、借金を返すよりも減税の方が票にな る、公共事業やった方が票になる・・・  火だるまになっちゃって、240兆円の借金。孫子の代とはいえ、今の納税者が事業に使えないで、今までの借金に困っている。だから、行政改革が必要に なってきたんです。今、特殊法人が財政投融資制度の中で、  いろんな特殊法人が、郵貯の金、年金の金を使って投資をしたのがつけが回ってきた。財政投融資制度というのは、多額の不良債権を抱えた国営金融機関で す。本来だったらば、郵貯の金、  年金の金、簡保の金を使って特殊法人が使っているんですから、このつけは、不良債務は、郵便貯金入っている人、簡易保険入っている人、年金積み立ててい る人が払わなきゃならないんです。
一般の金融機関がそうでしょ、もう倒産したらば。
ところが、その郵貯なり、年金の積み立ての人に皺寄せをすることができないから、あの特殊法人のつけは国民が負担しなさいということで決まっているのです。そのいちばん大きな例が、  旧国鉄清算事業の債務。少なく見積もっても今28兆円。
あのJRの株を全部売却しても、土地を全部処分しても20兆円以上の債務が残ってきます。国営林野事業、これも3兆5千億円の債務が、  国民が負担しなければならないでしょう。
本来、有利確実に運用しなければならない財政投融資制度は、郵貯の金が豊富だから、年金の金が豊富だから、投資・融資した。誰がつけを払うんだ。
国民みればいいじゃないか。先送りしてきた。去年、6850億円の住専の負担を国民が負担するというので皆怒りました。6850億円ですよ。これから、20兆円以上の金を国民が負担することは決まっているんです。
今年中に決めなければならない。20兆円、消費税にしたら10%近いですね。
5%、3%あれだけの反対ですよ。また、増税できないでしょう。でまた皆さん、先送りされる。そのつけを皆さんが払わなくてはならない。
こういう問題が今年の暮れまでには結論を出さなければならない、政府が。増税も出来ない、借金も出来ないんだったら、益々国がやらなくてもいい仕事はどん どん民間に任せていかない限りは、  この財政構造は変わりません。私はそういうことから、郵政3事業というのは、無くていいと言っているんじゃないです。あの3事業は役人じゃなくても出来 る、役所がやらなくても出来る、民間にやってもらえば、  自由にやってもらえば、もっとサービス競争が始まる、現に品物の配達でも民間にやらしたが故に、今郵政省の小包は値上げ出来ません。民間がやっているか ら、値下げ競争しているから。
ついに郵政省は小包配達の割引を始めたんです。大口割引。民間がやっている仕事は割引しないとできない。封書と葉書は民間がやっていないから、値下げした ことない。なおかつクレジットカード私とか、  さんざん言い出した。民間がやりたいって言うのやらせないんだ、おかしい。やらせりゃいいじゃないか。裁判所に訴えるの、郵政省止めた。どういうこと考 えたか 。
民間がクレジットカードを配達しているよりも安く設定してきた。本来、国の仕事というのは民間にできないことをやるべきでしょう。民間ができるよりも、民間と同じ民間と同じ仕事を安くやる。
民間の企業はたまったものじゃない。それでも民間は下げるでしょう。独占の、封書と葉書の方の利益を、民間のやっている仕事のクレジットカードに当てたらたまったもんじゃないです。
クール宅配便っていうのできたでしょ。民間があれ開発してやったんです。需要が出てきて、民間が儲けると思ったら、今度郵政省同じことやらせてくれといっ て、各郵便局に保冷倉庫を作るから、  予算を要求して、設備投資を予算を要求して民間と同じことをやらせてくれと要求してきた。これが役所の本質です、役人の。自分の仕事を絶対離さない。民 間にやらせないで、独占しようとする。
あなた、国民の税金使ってやればこんな楽なことない、倒産しっこないんですから。これじゃあ、行政改革できません。私は今年の11月に省庁再編とか、行政 改革出てくる、  私は橋本内閣はこの郵政3事業民営化の方向を出さざるを得ないと思います。今、全政界、全部反対しています。しかし、そんな時代じゃないです。この予算 も、  マイナス予算組むっていうことに当初は皆反対したけれども、いざ総理が決断すると全閣僚賛成する、全自民党の部会賛成する、この郵政3事業もそうです。 今、新聞にしか出ていません。
民営化か、特殊会社かと。政党・政治家、全部反対しています、ほとんどは。しかし、総理が決断すればこれはやらざるを得ない。やらない限り、増税か借金しかないです。
この総理の行政改革、財政改革、6大改革、成功するかどうかっていうのは、この郵政3事業民営化の方向を出すかどうかに鍵はかかっているんです。私は11月には、やらざるを得ないと思います。
日本は、一気に変わる。今、この郵政3事業民営化反対というのは、幕末の開国反対と同じです。第二次世界大戦の前は鬼畜米英だった。アメリカ、イギリス鬼畜生。負けたら、全部アメリカ一辺倒になった。
ついこの前の野党は小選挙区、全部反対してた。政権を取っちゃったら、今まで小選挙区は民主主義を破壊するものと言った政党までが、民主主義を守るものだと、皆賛成に回った。似てるんですよ。
あるとき反対するが、一時期がくると全部くるっと変わる。あの開国でもですね、幕末の、開国では皆、首をくくられて殺されたんですよ。尊皇譲位がスローガンで倒幕を果たした。
倒幕を果たして政府を取ると、一挙に尊皇譲位を叫んでいた人達も開国に切り替わって、何ら不思議でないような状況になった。今、あの幕末の時期、終戦後、 そして50年経った、  同じ様な転換期にきているんじゃないか、今までいっていたのが良かったから、これまでもいいという時代じゃない。今までは良かったけれども、これからは 通じない。
そういう時代に今来ているんだと、私はそういう状況をうすうす感じているから、どの政党も政治家も、また橋本内閣も行政改革、財政改革を掲げざるを得ない という時期に来ているのでないかと、  そういう意味におきまして、この行政改革、財政構造改革のいちばん関心を持たなければならないのは、30代、20代の皆さん方なんです。この240兆円 を超えたつけは、  いずれ皆さんの負担としてずっしりと重くのしかかって来る訳ですから。国債を発行しよう、増税できないから国債を発行せよという政党政治は、20代、  30代の人にずっしりと増税しようという言葉とまったく同じなんです。そこを考えて、今後の政治の面についていろいろ関心を払っていただきたい。
だいぶ時間が過ぎましたけれども、要点を述べさしまして、あと質疑に移りたいと思います。ご清聴ありがとうございました。 (拍手)
司会  ありがとうございました。21世紀への改革ということで、小泉さんにお話を伺いました。
では、トークショーの方に移らせていただきたいと思います。事前にですね、本日ご参加いただいております皆様方から 質問事項をアンケート形式でいただきました。その質問事項を中心に、お話を伺って参りたいと思います。
(大臣に)どうもお疲れさまでした。お休みもなく、申し訳ございません。熱弁をふるっていただきましたけれども、主な医療改革問題と、  郵政3事業の民営化のお話を伺ったので、折角ですから、その流れで皆さんからいただいた質問を投げかけて参りたいと思います。
まずですね、ちょっと話戻るんですが、新進党が郵政3事業の民営化に賛成したら賛同するという発言が話題となりまして、  その後閣内の統一が取れていないではないかと、いろいろ言われて、一時窮地に陥ったのかなあと思いきや、  橋本総理は黙認という形で、私たちはテレビを見ながら、「裏で何があったんだろう」と思っていた訳なんですけれども、その辺りはいかがだったんでしょう か。
小泉大臣 あのー、私がね、失言したみたいに取られているんですよ。
司会 どうやら、そう思っているみたいですね。
小泉大臣  予算委員会本会議で、けしからんと。
あの発言を削除せよとかね、訂正しなさいとか、陳謝しなさいという声が出たです。
自民党からも、新進党からも。ところが、質問者は一度も文句言っていないんです。今まで予算委員会がストップした場合でもね、  質問者が答弁けしからんと言って怒って審議ストップした訳なんですが、あの私の場合は、質問者は怒っているどころか、終わってね、  「よく丁寧に答えてくれました」って感謝して来た、お礼に来た。ところが、傍から、けしからんって言ってきた。
だから私は、丁寧に誠実に答えてね、文句言われるというのは割に合わんと。答えてなかったら謝るけれども、答えているのに謝る必要ないし、  削除する必要もないし、訂正する必要もないと言って、突っぱねた訳なんです。
ところが、政界には、ともかく郵政民営化自体を言うのはけしからんというのが本音ですから、何とか閣内で郵政大臣と厚生大臣の意見が違って不統一だという ことで予算通過を遅らせようとする、  あるいは小泉を辞めさせようという動きが出てきたんだと思いましたから、私は内閣で方針が出ていないんだから、自由に言うと。しかも、橋本総理に大臣就 任を要請されたときも、  最後には郵政民営化を私は引っ込めないよと、言ってもいいのかと、言ってもいいと言ったからなったんだから。
それで、厚生大臣を引き受けたんだから、そういういきさつがありましたから、私は削除も、訂正も、陳謝もしないと。国会でその質問に答えて、再度答えて、  もし問題があって予算通過が遅れた場合は、それは私は責任を考えているということでやったところが、大した問題もなく、むしろ陳謝撤回したのが、郵政大 臣だったんです。
小泉の発言を暴論と言った。ある人は暴論といいんですかと、郵政大臣に聞いたんです。私は、今は暴論だけれども、将来正論になると言って引っ込んだんです けれども、逆に暴論 という言葉は、  取り消します、撤回しますと言ったのは、郵政大臣。皆、私が失言したと思っているけれども、私全然失言していないんですよ。撤回もしていないんです。
それほど、この郵政民営化は、今まで国会へ出れば全部自民党から社会党まで、全部、けしからん、けしからん、大合唱が起こってもいい筈なんですけれども、私は謝りもしませんし、  議論を展開しますから、質問できなくなっちゃった。
司会  なるほどね。
小泉大臣  総理もいかんと言っていませんから。
司会  そうなんですよね。
小泉大臣  だから、結論は従う。結論が出るのは11月ですから。
そのとき考える。
私はこの民営化の方向の結論を出そうと思っていますから、今。国務大臣として。
それまでは、内閣の方針が決まっていない以上は。
司会 11月の決断をもしなさるんでしたら、小泉さん、郵政大臣の方が、よかったんじゃないですか。
小泉大臣 いやいや、郵政大臣ではね、郵政省というのは今の仕事を否定できませんから。
司会 あー、なるほど。
小泉大臣 なかなか、難しいですよ。
司会  実際のところ、党内でどのくらい、まあほとんどっておっしゃっていました、ほとんど反対っておっしゃっていましたけれども、どれくらい、あの暗黙の了解で賛同は得られているんですか。
小泉大臣 いや、9割反対ですね。政界全体が。
司会 党内じゃなくて、政界全体が。
小泉大臣 政界全部、自民党のみならず、新進党も含めて。
司会  この、「官僚王国解体論」というのを読ませていただくと、例えばいろんな議論がありますよね。
例えば、僻地の郵便配達がどうなのか、クレジットカードがどうなのか、っていうことはもうわかりました。
解明いたしました。ただ、実際に特定郵便局長会っていうのは、そんなに票田になるものなんですか。
小泉大臣  私は大したことないと思っているんだけども、思っちゃううんですよ、皆。
大体100万票あるんです。  特定局長さんが、一生懸命選挙を応援すると全国で100万票。
というと、今小選挙区300です。平均して3000票、1選挙区で。
3000票あると思っちゃっているんです、候補者が。確実に3000票欲しいですよ、やっぱり。
3000票が相手に行っちゃうと、行って返って6000票になっちゃう。6000票を一般の有権者が民営化賛成で入れるかっていうとそうじゃない。
棄権しちゃったり、入れないで。それよりも、確実に自分達のいうことを言ってくれれば投票しますよという人達の賛成を得れば、約3000票は堅いものになる。
そうなると、反対できなくなるんですね。しかも、皆有力者です、町内会の。政治家っていうのは悪口を言われるってことは嫌なんですよ。
票を入れる、入れないは別にして。あいつは役に立たないとか、あいつはとんでもない奴とか、選挙区で悪口を言いふらされる、これを気にする。
票にもならない、悪口は言われる、何一つプラスすることはないというから、皆郵政民営化反対になっちゃう。
それは、自民党だけじゃないですよ。特定郵便局。全逓の労働組合もそうです。全郵政の労働組合もそうです。
共産党はもちろん国営企業がいいと言っている訳ですから。
全政界がタブーだから、私は総裁選挙に出れば、このタブーの問題について天下の前で議論できるからということで、  郵政民営化掲げたんですから。天下で議論すれば、本当に暴論かというのはわかってくれるということで、出る価値があるなあと思って出たんです。
司会 なるほど。かなりの自信をお持ちで。
小泉大臣  それで、普通だったらね、この民営化論者を閣僚になんてしませんよ、総理は。
あえて、民営化言ってもいいなといって、総理が私を起用したことは、私は総理は本気ではないかなと思っているんです。
これしないと、増税か、借金しかないです。増税もこれはもう次の選挙、怖いですよ。小選挙区で、政権政党の自民党が増税言い出せるか。
減税は言い出せても、私は増税は言い出せないんじゃないと。私は増税は絶対反対しますから。自民党が賛成しても、郵政民営化しない限りは増税は反対だと。
そのときに、増税がいいのか、民営化がいいのかというのを、多くの議員は迫られるんじゃないですか。次の選挙で。3年後になるか、2年後になるかわかりませんけれど。
司会  橋本総理が11月に決断をするというお話を、するであろうというお話を今日初めて伺ったんですが、  小泉大臣のおっしゃることと、橋本総理との行革の、なんて言うんですかね、スピード感っていうのがちょっと違うような気がするんですが。
小泉大臣  それは手法が違います。橋本総理の広げている行革はすごい幅広いですね。私は、一点集中主義で、これやれば半分以上行革は成功したと思っていますから。
いいですね、民営化やれば。役人も30万人位減りますしね。役所の仕事、財投から含めて、特殊法人全部見直さなければならなくなりますから。
しかし、この郵政3事業の民営化を避けて、どんな改革やっても失敗すると確信持っていますから。やらなくていいこと役人にやらせて、行政改革になりませんから。
いちばん抵抗の強いところをいちばん避けて通るから、今まで全部失敗してきたんです。私は、時間の問題だと思っています。増税が嫌ならですよ 。
国民が増税がいいというのなら、逆です。
司会 嫌ですよね。
小泉大臣  10%の消費税OKだと言うんだったら、話は違いますけど。
私はそういう結論は出ないと思います。
司会  方法論として、そのプライオリティを決めるのが先ほど政治家の決断だというふうにおっしゃっいましたけど、それはいちばん最初にもう郵政3事業の民営化だと。
小泉大臣 しかも、本丸です。
司会  本丸。わかりました。とは言うものの、90%が反対でその中でひとりそういうふうにおっしゃっているというイメージがあるんですが、ひとりで反対意見を言うという場面、小泉大臣は多いですよね。
小泉大臣 まあ、そうですよね。(会場、笑い)
司会  今までの例を取ってみても。それは、私達の待望するところの政治家であることには間違いはないのですが、民主主義でしょ。ねえ。
数の論理みたいなものはどういうふうにお考えになっているんですか。
小泉大臣  国会の議員の中では、圧倒的多数が郵政民営化反対ですけども、国民多数は私はそう思っていません。議論していけばわかると思います。
それは、選択の問題です。増税と郵政民営化とどっちがいいかと選択だせば、増税は嫌だ、郵政民営化まずやれという声が、必ず過半数占めると思います。
司会  国民がついてくる。なるほど。  続いての質問なんですが、最近料亭政治が復活しているように思えます。6月11日YKKが、ファスナーじゃありません、YKKが赤坂の料亭で2時間の会 合を持ちましたが、  そういう時はどんな話をしているんですか、ということですけれども。
小泉大臣  それはね、あー、いろんな話しますよ。政治の話ばっかりじゃない、猥談もする、あるいはスポーツの話もする、人生の話もする、女の話もする、様々ですよ。
その時と場合によって違う。料亭政治いかんって言うけどね、外国には料亭ないんですよ。文化なんですよ、居酒屋にしても。別に料亭に入っているから、  いかがわしいことしてるっていうんじゃないんですよ。
料亭なんて、アメリカ、ヨーロッパないでしょ? 料亭っていうのは日本独特のもんなんです。
司会 料亭っていうのは何がいいんですか。
個室だからいいんですかね。
小泉大臣  そうなんです。クラブとかバーへ行くと、他人が一杯いて話が隣に聞こえるでしょ。
料亭だと個室だから、話が、見も知らぬお客さんいないでしょ。
司会 はい。
小泉大臣 それで、話しやすいという雰囲気がある。
司会 それは食事がついてるだけのものですか。
小泉大臣  食事がついている。あるいは、たまに女の子が入る。 (会場、笑い)
そうすると、男同士だけ、政治家同士で、普段気が合わない人でも、間にあなたみたいな奇麗な可愛い子が入ると、話がやわらかくなるじゃないですか。滑らかになるじゃないですか。
司会 ほほほ・・・。
小泉大臣  政治の話ばかりしていたら、そんなつまんないでしょ。
潤滑油。潤滑油で、段々、そこに人間の味が出てくるんですよ。
司会  コミュニケーション取っているんですね。
小泉大臣  その話を、ただただ仕事の話で会いましょうというよりも、下らない話をしながら、真面目な話をする。
真面目な話をしながら、また下らない話を、というときに、段々人間関係っていうのが出来てくる。
だからね、男だってね、仕事の話ばかりしている男なんてつまらないよ。(笑い)
司会  参考にします。 回りにいる人も大変ですもんね。
そんなクラブとか、いろんなところに行かれて。
小泉大臣  そうそう。第一ね、議員っていうのは行きにくいです、クラブは 。
バッチ外して行くとね、あいつまた変な遊びのために来てるんじゃないか。
で、バッチを付けて行くとね、議員だと思ってバッチを付けて威張っているて言われて。
行ってろくなことないって。
司会  そうですか。
久しぶり・・・久しぶりでもないんですけれど、ここ数ヵ月はYKKというのはまた紙面でよく拝見するようになったんですが、あの、解散なさったのかなあと思われる時期もありましたね。
小泉大臣  あー、私が総裁選挙出て、山崎さんと加藤さんが橋本さんを応援して、私が対抗馬だったときね。
もう、あれでYKKおしまいだと言われたでしょ。政治家なんてのはね、意見の違いなんてしょっちゅうなんですよ。
政策で一緒になれっていう、これ確かに政策は、政党は大事ですよ。政策はしょっちゅう変わる。時代が変われば、政策は変わるんです。
で、安保条約に賛成・反対だって、社会党がいつの間にか反対が賛成に変わたでしょ。
小選挙区が、賛成・反対、くりっと変わったでしょ。政策が違うから、しょっちゅう人間関係も壊れると言ったらね、しょっちゅう壊れたりくっついたり、しょっちゅうしていなけりゃならんです。
司会  それは、すごくよくわかります。
小泉大臣  そうでしょ 。
政策毎にそれぞれ意見が違うというのもわかるんですが、最近あまりにも大きな単位でくっついたり離れたりしてるものですから、こういう質問もあったんですね。
あの、どの政党も特色のない現在の政界をどう思うか。
小泉大臣  これはね、民主政治が進んでいくほど、政党の違いはなくなってくると思います。
それは、アメリカの民主党、共和党の例をとってもそうです。
イギリスの労働党、保守党とってもそうです。政権を取ろうと思うとね、段々政策似通ちゃううんです。
出来るだけ多くの人の支持を取ろうと思うとね、あんまり突拍子な意見できないですよ。
誰もが反対しないような、票を取れそうな政策を掲げるとなると、似通ちゃううんですよ。
政権取れなくてもいいって言うなら別ですよ。
お互い政権交代できるような大政党作ろうと思えば、政策の違いは段々わかりにくくなってくる。
だから、あんまり政策の違いを出せるって言ったってね、そりゃ無理ですよ。知事選挙、市長選挙見てご覧なさい。
大した違いないでしょ。青島さんにしても、ノックさんにしても、なっちゃえば、大した違いないでしょ。
市長選挙、知事選挙を見れば、いい例ですよ。
そんなに違いはでない。たまに、はっきりとした違いがでる場合があるけれども、それは一時期、例外だね。
司会  そうしてみると、国民からしてみると、その政策毎にこの人の意見を支持したいというのは、表わせない訳じゃないですか。
今、政党政治が。ですから、どうやって選んでいけば良いのかがわからないですよね。
小泉大臣  最近は、だからそういう政党の違いがなくなったから、政党より政治家、政策より性格だなんて言う人もいるけどね。
司会  どうやって判断すればよろしいですか、反対に。
小泉大臣  結局、それぞれが判断するしかないです。政党も選ぶ、個人も選ぶ、両方でしょ。これだって言えないです。
政党の中で、それじゃあ誰を選ぶか、ということは小選挙区じゃできにくいけれど。ひとりしかいないから。
しかし、そういう中でも、両方嫌いだけども、嫌い度が少ないのはどっちかと。
司会  消去法ですか。
小泉大臣  消去法でも何でも、やっぱりどっちか選ばなきゃなんない。皆、国民いろんな考え持っているんだから、自分の考えに全部合う人なんていないですよ。
そういう中で、政治家、何百人かの政治家の中から投票する場合には、自分のいちばん近い考え、がなければ遠くない考えを選ぶとか。
好き嫌いでも、仕方ない、いいですよ。政策でもいいですよ。好きだけどもあの政策は嫌だという場合あるよね。
そういう場合は悩むでしょうけど、どっちかを選ばなくてはならない。そのときの時勢に合わして。
本当に、こんな政策やられちゃ困るといった場合には、政党が嫌いでもそっちの政党に入れる場合もあるでしょ。
それは、ときどき個人が判断しなければ。これだってことはないです。だから、政治って難しいんですよ。
政策だけもない、政党だけでもない。好き嫌いでもない。昨日の敵は今日の友になったり、今日の友は明日の敵になったり。
これは歴史見ればわかるでしょ。離合集散、世の習いだから。
司会  選ぶ方も大変なんですよ。
小泉大臣  大変ですよ、そりゃ。
だから、選挙は永久じゃなくて、4年に1回とか、3年に1回とか、2年に1回とかあるんです。
司会  で、今、過渡期だと思われるんですよね、自民党も。
保保、自社さ、とおおまかに今わけて呼ばれておりますけれども、どのようにお考えですか。
小泉大臣  これもね、自民党が野党のときに、皆自民党の議員は、わかったと思うんです。
あー、自民党という政党というのは、野党は駄目だと。
司会  向いていないんですね。
小泉大臣  与党じゃないと駄目な政党だということを、野党になってみて、はじめてわかったんですね。
司会  わかりますね。
小泉大臣  それで、与党になる方法は何かということを必死で考えたのが、当時小沢さんや市川さんから袖にされていた社会党だったんですよ。
その反自民というか、社会党と組まないと与党になれない、好き嫌い別だと、与党になることを最優先に考えた。それで、ついたのが今の。
そして二度とあの新進党、小沢さんの失敗を繰り返さない。ということは、我慢に我慢を重ねて、社会党これやっちゃいかんと。野党になったら、今の新進党になっちゃう。
新進党も、与党の自民党にいた人、中枢にいた人が出ていって作った政党ですから、わかっている、我々。権力を握って、中枢にいていい政党だった。
野党になって、はじめて自民党が野党になった気持ちを、今小沢さん味わっているんです。ずーっと主流でいた。その野党の怖さわかんなかった。
野党になってみて、自民党の、自民党いちばんわかっている、あの自民党に野党時代の思いを今小沢さんがしていると。
まあ、ここでいい加減に社会党これやっちゃいかん。
司会  よくわかっている。最近、小沢さんはお元気なんですかね。
小泉大臣  だから、あの立場と思いますよ。小沢さんは新進党も野党じゃだめだと。
どうやったら、与党になれるかと、自民党も野党のとき、考えたんですから。
似たようなこと考えていますよ。いかに与党になるかと。
司会  ということは、小泉さんは、自社さ路線なのか、保保連合路線なのかと、わけるとすれば。
小泉大臣  あまりこだわらないです。
司会  また、ひとりですか。
小泉大臣  いや、政策中心で、自民党は与党にいないと駄目な政党だとわかっている。
与党にいる限り、これに協力してくれる人でも政党でも、協力してくれる人だったら誰でもいいと。
これが政治だと。そのときの政策を掲げて、賛成してくれる人、政党は、全部受け入れるべきだ。
司会  党外からでも、というお考え。
小泉大臣  党外からでも。
司会  YKKも今は仲良く。
小泉大臣  基本的にそうですよ。自社さ、与党やっている訳ですから、これを敢えて壊す必要はない。
その中で、協力してくれる人があれば、協力を求めればいい。ただし、新進党丸ごととは言わない。戦っているんですから。
司会  そうですね。
小泉大臣  そうでしょう。
司会  あの、個方法論になってくると思うんですけど、これから数をまとめていくにあたって、どういう動きをさなるんですかね。
小泉大臣  それは、僕はこの行政改革、橋本内閣が行政改革、財政改革やっている限り、これが反対だといって政権は作れないと思うんですよ。誰がなってもこの方向は進まざるを得ない。
司会  はい。続いての質問。ちょっとこれ、微妙な問題になるとおもうんですけれど、一応その質問そのまま読ませていただきます。
岐阜県の御嵩町の住民投票などで注目されています産業廃棄物処理場の問題について、どういうお考えをお持ちか。
あの、一応、これ地方自治にこれ関連してくるんでどうかと思ったんですが、一応厚生大臣というお立場上、どのように行政サイドで何かこう思案があるのかと、そういう質問だと思います。
小泉大臣  これは御嵩町の住民投票ではっきりと、今の県の、岐阜県の当局の方針に反対だという結論が出ましたから、御嵩町町長と県当局が話し合いをしないと、もう進まないと思いますね。
だから、当初は考えていた、県の考えていた産廃=ごみの処理場は無理でしょう。どうやって受け入れられる処理場が可能か、話し合いしかないでしょう。
司会  住民投票っていうのが、最近ブームで、ロシアでもやってたりなんかして。
ただ拘束力は何もないものなんですけれども、こういう論議が行われている中、  産廃場っていうのはものすごく規模も大きいし、裏でものすごいお金も動きますから、地方自治に全部任せて行くものなんですか。
それとも、厚生大臣として助言があったりっていうのはあるんですか。
小泉大臣  それは当然、基本的には地方自治体、都道府県がやるんですけれど、受け持つんですけれども、助言、監督、指導、あるいは補助金の面においては厚生省も当然出しています。
基本的には、各自治体の問題ですからね。点検しながらやっています。
司会  実際にこの御嵩町の町長さんとお会いになったりということはしない?
小泉大臣  そういうことはしませんけれども、それはまず県ですから。県で決めることですから。町長と県の交渉を見守るしかないです。
司会  見守る。
小泉大臣  ええ。
司会  そうですか、わかりました。  続いての質問です。今の若い人達に対して、感じること、言いたいこと。
ちょっと漠然としているんですが、一応この21世紀クラブっていうのの趣旨をご理解いただいた上で、今日来ている人達は大体20代後半から30代位なんですが、そういう人達に対して感じること、言いたいこと。
小泉大臣  可能性持っているんだから、よく学びよく遊べって言葉あるでしょ 。
これに尽きるんじゃないかな。
自分で考える。
何を学ぶか、何を遊ぶかというのは、自分で考える。
しかし、人生若きも老いも、男も女も、私はよく学びよく遊べ、この言葉をよくかみしめるべきもんだと。
どれが学びで、どれが遊びだと考えるのも含めてね、自分にとって。
司会  ご自身を例に取ると、どういう20代でした? 30代でしたか?
小泉大臣  僕は、学ぶほうではよく本を読んだ。
遊ぶほうでは、友達とマージャンしたり、野球をしたり、スキーをしたり・・・その他、ちょっと言えないこともしたけどね。
まあ、よく学びよく遊びっていうと、勉強のほうの学問、学校のほうのいわゆる教材っていう勉強しなかったけれども、自分で非常に参考になった、  いい勉強になったと思ったのは、学校で教える以上に人との付き合いと、それと歴史時代小説読んだことが、非常に良かったと思っているんです。
司会  歴史時代小説、例えばどの辺りが特にお好きですか。
小泉大臣  司馬遼太郎さんだとかね、あるいは当時は柴田練三郎とかね、吉川英二とか、あるいは海音寺長五郎、池波庄太郎、吉村昭、まあ、吉村さんは今でもあるけれ ど、  司馬遼太郎の本なんて片っ端から、発売されたら読んでいた。それとね、小説新潮とか、オール読物っていう月刊誌があるんだ。
あるいは、歴史読本とかある。あの中でもね、時代歴史小説ばっかり読んでいたよ。買ってきて。現代小説、ほとんど読まなかった。
司会  時代でいうと、大体どのあたり好きなんですか。
小泉大臣  戦国時代とか、幕末。
あの頃の人物像はね、学校の教科書がこうも味気なくつまらないものかと、こういうのを早くもっと学生時代読んでいりゃいいなあと思った。
司会  歴史上の人物で影響を受けた方、あるいは今でも読み返して、この人の言葉、いいなと思うような方、いらっしゃいますか。
小泉大臣  いや、それぞれ歴史時代小説、まあ最初から肩入れして読むと面白さわかんないから、司馬遼太郎の本なんか、信長にしても秀吉にして家康にしてもね、実に人物の描写がうまい。
あれは、人間っていうのはそんなに変わらないですよ、戦国時代も今も、本質は。
あれを読むと、人間というのはこういうものかというのが、事実は小説よりも奇なりだし、こんなことが事実としてあったのかと、考えられないようなことが事実としてある訳だから。
もう、フィクションじゃ考えられない。その事実の面白さ。その事実を題材にして、小説家がその空白を空想で埋めて行く訳でしょう。
全然、会ったこともないのに、信長と秀吉の会話がさ、その場で臨場感をもって出てくるんだよな。
小説家の能力って、大したもんだと思ったよ。すごいよ。そりゃ、資料を読みついで考えている。こう言っただろうと。
自分が信長になったり、秀吉になったりして、小説組み立てる訳だよね。これ、点と点は事実なんですよ。
親子が殺し合ったり、兄弟が殺し合ったり、親戚同士が戦いをしたり、もう本当に頻繁だね。
同時に、特に若い世代で確認すると、私も50年前に生まれていたら、特攻隊に志願していたんじゃないかなと。
幸せな時代、恵まれた時代に生まれたなと、あのときの学生、学生時代に、当時の同じ年の人が遺書を書いて飛び立っているんです訳ですよね。
信じられないような衝撃受けましたよ。こんな時代に生まれなくてよかったな。なんて恵まれてる時代に我々生まれたんだと。
志願ということをとりながら、当時は半ば強制的な雰囲気だったんでしょ。何もこれからっていう時に二十歳で、油片道しか積んで行かないで、死んでいく・・・今はもう信じられない時代です。
ああいうのを読んで、それは本当に先人に感謝したり、あるいは自分は恵まれて愚痴を言うのは恥ずかしいなという気持ちになる。
だから私は、歴史時代小説というのは、非常に勉強になった、自分にとって。もちろん、歴史時代小説嫌いな人もたくさんいるでしょうけれども。
今、「失楽園」とかね、不倫小説というのが楽しいとかと思うけども、そりゃあ、悪いとは言わんけど、私にとっては歴史時代小説というのは、実に勉強になった。
事実の持つ迫力、これは素晴しい。
司会  今、たまたまそういうお話になったので、大体皆さんからいただいた質問を終えましたので、ちょっと予定外の質問なんですがよろしいでしょうか。
今、戦争の話が出たところで、明後日から、アフリカにいらっしゃるということなんですけれども、きっと最近ちょくちょくと海外の方にお出かけになる方が多 いのは、  常任理事国入りをはっぱり視野に入れた動きなのかなと、思う訳なんですが、小泉大臣はどのように?
小泉大臣  私は、常任理事国になる気概が今日本国民はないと言っているんです。背伸びするなと。常任理事国になるんだったら、まず憲法改正しなさいと。
憲法も改正しないで、常任理事国になるってことは、国民を欺くものだということから、私は慎重論なんです。今、曖昧すぎる。このいい加減な気持ちでね、  五大国みたいに国際平和は武力なしに守れないと言った国に伍していって、かえって恥をかく。日本人の多数はまだ平和外交、平和外交と言っているけれど も、  平和外交の裏に武力・軍事力が大事だということがまだ認識ないから、そういう平和っていうのは武力なしに軍事力なしに守れないという五大国と一緒にやっ ていけるのかと、  そんな背伸びしたら、かえって危うい。もうちょっと時間待ちなさい。
いずれ、日本が本当の独立の気概を持って、憲法改正してからでも遅くない。それにはまだ時間が掛かる。そういう気持ちなんです。
司会  確かに、2年位前に私たまたまニューヨークにいたときに、国連本部にいて、ガリ事務総長の右腕と言われる日本人の人がいるんですけども、  その方にお話を伺ったときに、日本が常任理事国に入ることはもう決まっているんですよっていう言い方をなさったんですよ。
はあーっと思って、それがもう2年も前のことだったですけれども、そのときにはまだ憲法改正論もまだちゃんとしていなかった。
で、やらなきゃいけないのはどっかでわかっていると思うんですよ、皆。ただ、その論議がし尽くされないうちに、  日本はどんどんどんどん世界の流れから取り残されているという気がするんですね。で、今、今日話していただいたような現状の中で、例えば憲法の改正論議 は、どの辺りのプライオリティに来るんですかねえ。いつになったら、話すんでしょう。
小泉大臣  10年は掛かるでしょうね。まだ。10年先でしょう。
憲法9条を改正するには、まだ10年後でしょう、真剣な政治課題になるのは。
まだ、その土台というか、準備はないと思いますね。それやったら、他の政策課題、何も出来なくなっちゃう。
司会  それもわかるんですよね。ただ、10年も待っていると、日本はこのまま取り残されていってしまうんじゃないかという不安があるんです・・・。
小泉大臣  国際情勢が変われば、ガラっと国民性変わります。
司会  ガラっと変わるというのは。
小泉大臣  1年でも憲法改正できちゃいますよ、日本国の。日本が侵略された場合はね。
憲法あるから何もできませんなんて、ガラって変わります。
司会  侵略された場合は・・・。なるほど。
小泉大臣  今は侵略されないという、温室の中にいるから、先送りできるんです。
司会  それで、いつもこのリバティ・オープン・カレッジでは聞いている質問なんですけれども、座右の銘、というのはありますでしょうか。
小泉大臣  僕は色紙を頼まれるとね、よく書く言葉に、孔子の論語のね「信無不立」という言葉が書いてあります。
無という字に信ずる、不動の不に立つ、「信なくんば立たず」という言葉がある。信用がいちばん大事だと。
孔子の言葉にね、食事・食物が大事か、武力が大事か、信用が大事か、で孔子は弟子に向かってね、各々大事だけれども、いちばん大事なのは「信」、信用だと、人間。
というので、「信無不立」という論語の言葉です。だから、政治家にとって、人間にとって、いちばん大事なのは信用だということで、「信なくんば立たず」という言葉をよく書く。
座右の銘というかどうかわからんけれども、好きな言葉って言うか、むしろ大事な言葉って思って書いている。信用がいちばん大事。そうでしょう?
人間にとっても、政治家にとっても。信用があれば、お金も入って来ます。役もついてきます。役のために、お金のために、友人を裏切っても、信用をなくしてもいいという人は、必ず失敗します。
長い目で見れば、いちばん大事なのは、信用。信用を大事にすれば、黙ってあとのものはついてきます。そういう意味で私は、この何千年昔の孔子の言葉っていうのは正しいんだと、最終的に。だから、「信無不立」。
司会  それは、どなたかから、お聞きになった?、それとも本で?
小泉大臣  いや、学生時代、受験で皆、論語を読むじゃないですか。そういう中で。
今、若い人、皆知っていると思いますよ。わかるでしょ?
漢文はちんぷんかんぷんで、苦手だったけどさ。返し点とかさ・・・。「信なくんば立たず」
司会  ・・・と、お書きになる、そうですか。
今まで、いろんな政治家の方をお迎えしてお話を聞いてきたんですけれども、お話がわかりやすくて短い方ですね。(会場、笑い)
小泉大臣  あ、それは、よく言われる。
司会  私も、いろいろ苦労したんです、先日、あの「総理と語る」っていう番組をさせていただきまして、橋本総理のお話聞いているうちに、  途中で論点がすり変わっていっちゃって、結局聞きたいことはひとつも聞けなかったという反省点があったんですけど。
非常にわかりやすいですね。
小泉大臣  僕は、努めているのはね、まず最初に結論を言おうと思うんです。
司会  あ、わかりやすいです。
小泉大臣  普通の人は経過を言って、最後に結論を言うでしょう。
結論聞く前に、聞いたこと忘れちゃうんです。
司会  あ、あります。
小泉大臣  経過言っているうちに、何答えていいのかわからなくなっちゃう。
そういう人は結構多いでしょ??
司会  多いです。
小泉大臣  私は、聞いていて歯がゆくてしょうがない。
だから、自分はそういうこと止めよう。 聞かれたら、できるだけ、答えたくない場合は除いて、結論から言おうと 。
それで、後からその結論に到達する経緯なり、理由は何かを述べた方が、テレビなんかに出た場合は、特にそれがいいんだ。
司会  いや、テレビになんであんまり政治家の方にお出にいただかないか、お出でいただく場もあるんですけどね。
何故かというと、時間が足りないんですよ、どう考えても。
小泉大臣  いつも、あと10秒、あと10秒って後ろ出されるじゃないですか。止めてくださいって。
司会  結論出る前に、番組終わっちゃうんです。だから・・・。
小泉大臣  だから、最初に結論ださなきゃ駄目だと思っている。
司会  でも、かなり危険ですよね。
小泉大臣  危険なんだ。それに耐えていかなきゃいかん。
司会  誤解されることって、多くないですか。
小泉大臣  だから、しょっちゅう誤解されていますよ。(会場、笑い)
司会  ですよね。
小泉大臣  だからもう、人に理解されるのは、こんなに難しいものかと。
司会  あの、言っちゃなんですが、亀井静香さんとまた違った意味で誤解されますよね。
小泉大臣  結論言っちゃうから、きつい。最初に結論言っちゃう。
司会  その誤解はいつ解くんですか。
小泉大臣  自然に。仕方ないからもう。後でわかるだろう。
論語の言葉にね、また論語出すけど、「人の己を知らざるを憂いず」。
人を知らざるを憂いずって、言葉あるんです。人が自分を評価してくれない、理解してくれないと思うのを憂いてはいけない。
嘆いてはいけない。むしろ、人を知らざるを憂う。自分がその人を理解しなかったことを憂いなさいという、非常に儒教的というか、聖人君子的な論語の言葉があるんです。
司会  もう、神様みたいな言葉ですよね。
小泉大臣  神様。それ、なかなか出来ないんだけれど、こりゃ本当に味わい深いなと。
自分が誤解された、理解されないのに憂いていかん、嘆いちゃいかん。
自分を理解してくれなかった、評価してくれなかった人、なんでその人を俺は理解できないんだろうか、評価できないかを憂いろ、ということなんです。
これ、本当、神様みたいな言葉でしょう。
だから、理解してくれない、こんちくしょうと思っても、その論語の言葉を思い出してね、あ、そうか、嘆いちゃいけないんだな。むしろ、その人を自分が理解できないのを憂えろ、  という孔子の言葉、なるほどこういうことか。
なかなか難しいんだけれど、もうある程度諦めてね、自分を誤解されるから言っちゃいけないと思わないで、誤解されてもいいやと、いう気持ちでぱーっといつも言っちゃう。
後はもう仕方がない。
司会  なるほど。聖人君子のような・・・。
 小泉大臣
 そういう心境になかなかなれないけども、そういう言葉があったなと思い出しながら、誤解されても、誤解されて言わないよりも、言って誤解されるのが政治家の宿命だと。そうでしょ? 仕方ない。
司会  質問事項は、だいぶ刈込んでいるんですよ、ここへ来るまでに。で、刈込んで、落としたもの、質問してよろしいですか。時間、折角だから、全部使っていいですよね。
先の、あの医療改革のところだったんですけれども、厚生大臣におなりになったのは去年の10月で、11月組閣があって。で、通常国会で保険法改正すぐ出たじゃないですか。
これ、もうちょっと前に大臣になっていたら、これ抜本的に見直そうと思いませんでしたか。
例えば、薬価基準とか、診療報酬制度の方の見直しを先にやってから、ということはお考えにならなかったですか。
小泉大臣  考えたけども、まとまんなかったでしょうね。
司会  時期的に。
小泉大臣  自民党が認めなかったです。
野党も含めて、与党も含めて。これを出したから、批判が出てきて、ようやくそういう雰囲気になってきた。
司会  じゃあ、順番はこれだったと思っていらっしゃる。
小泉大臣  これは、今度の批判された健保法改正案が今国会通ったのは、踏台です。
やっぱり、段階踏まなきゃ駄目なんです。これを出さないで、一気に抜本的にやったら、反対噴出してまとまんなかった。
こういう、かなり批判された点を出したから、もうこれは駄目だと、一部的な手直しじゃ駄目だという雰囲気になった。だから、私はこの6カ月間は非常に有効だったと思っている。
司会  じゃあ、今後着手していかれようと思う中には、そういう方向も考えていらっしゃる?
あと、ひとつ皆さんからの質問の中にあったんですけれど、薬品メーカーと医師の癒着、あるいは厚生省からの天下りの問題、エイズの問題の時にね、  随分熱く語られた筈だったのに、もう忘れている問題があるじゃないですか。
そういうのっていうのは、今後考えていかれるのであろうかと。
小泉大臣  いや、あのエイズの問題が契機となって、今薬の審査体制っていうのは強化されているんです。活きてきますよ。
司会  これから、やっていただける。
小泉大臣
 ああいう事件を契機に反省して、直していこうという積み重ねですから。
司会  はい。
ということで、ちょっと刺さるような視線が怖くなってきたので、この辺りで終わりたいと思いますが、先程の時代小説の話で、秀吉と信長、家康、自分に例えるとしたら、誰ですか。
小泉大臣  いや、僕はとてもああいう英雄偉人には程遠いけれども、どれもないけども、うらやましいなっていうのは、信長だね。
あれほど、49年間、疾風怒濤のように生き抜いて、最後炎の中で散っちゃう訳でしょ。
あの残虐さってことを非難する人もいるし、あの当時あの残虐性がなかったら生き残れなかったんじゃないかという人もいるし。
あれをみてね、全部、信長にしても、秀吉にしても、家康にしても、みる人によって、180度評価違うんだよ。ここがまた歴史小説の面白さ。
人物の見る目が深くなる。だから、人を見るのって評価全部違うんだから。今、小説家の手になった信長にしても、秀吉にしても、家康にしても、今生きていたら怒るだろうね。
勝手なこと言いやがってって。見てきたような嘘を皆書く訳だから、会話も。それだけ、人間の評価って難しいと思う。人によって良い、悪い、極端だから。
家康を英雄に扱う人は聖人君子みたいに扱う。家康は狸じじいだと思う人は、もう非常におとしめるように書き方するでしょ。だから、これはもう書く人によってしようがない。
見る人が違う。それで、そういうのを読んでいくことによって、人間を見る目が出てくるんですよ。若い人は特に。
自分の経験できないことを本で、何百年経験できないことを本で、少しでも経験できるんだから。それが人間を見る目を養ってくるんです。
全然、歴史時代小説、人物を読んでいない人と、読んでいる人との、人を見る目っていうのは、私は随分違ってくると思うんですよ。
司会  たぶん、信長が生きていて、誤解されているなあと思っても、あまり言わないでしょうね。小泉さんみたいに。
小泉大臣  いや、もう死んじゃっているからね。
司会  ということで、お時間がきたようです。本当に誤解を恐れぬ、大胆な発言をたくさんしてくださいました。
本当にわかりやすく、ためになる話でございました。小泉純一郎さん、もう一度拍手でお送り下さい。ありがとうございました。(拍手)
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